●音友レコード倶楽部Report jazz date/2023年1月コンサートの報告

※音友会主催の『第2回元住吉ミュージック・フェスティバル』告知により、1月と2月のMマガジンのリポートは音友会のHPでの紹介となります。

ついに実現、正真正銘の“レコードコンサート”

〜デューク・ジョーダンのピアノが国際交流センターホールに響く〜 白仁田一浩

音楽好き、オーディオ好きの方にとって音楽ホールのPAで聴く生演奏ほど魅力あAるスタイルはないと思いますが、2023年初回の音友レコード倶楽部は、発足以来初となる本格的ホールでの開催となりました。これぞ正真正銘の“レコードコンサート”です。幸運にもこの日Jazz DateのDJを担当した筆者も愛聴盤を音楽ホールで鳴らすのは勿論初めてであり、おそらく今後も滅多にない、この上なく貴重で嬉しい体験となりました。
今回の特集である“燻し銀ピアニスト“デューク・ジョーダンのピアノが国際交流センターホールに響きました。先ずは記念すべき1954年ジョーダン初のリーダー・アルバム「JORDU」(写真①)のトップを飾る”ジョードゥ“。一度耳にすれば忘れられないイントロと主旋律が強靭なタッチで綴られるジョーダンの代表曲。続いて、長い音楽活動休止期間からの復帰作となった名盤「FLIGHT TO DENMARK」(写真②)より”グラッド・アイ・メット・パット“。ワルツダンスを踊っているかのような滑らかなタッチとリズム、そして軽やかで美しいメロディ。作曲家としてのジョーダンの豊かな才能とセンスが遺憾なく発揮された名曲。一方「イントロの魔術師」とも言われたジョーダンの魅力を味わえたのが「Change a Pace」(写真③)からの”チェンジ・ア・ペース“。ジョーダンらではのイントロの後に展開される美しくも哀愁に満ちた独特の静かなメロディ。他の作品とはひと味もふた味も違った魅力を醸し出す傑作盤。その他チャック・ウェインやアート・ファーマーとのカルテット2曲を挟み、締めくくりは「Jealousy」(写真④)より”木の葉の子守歌“。スタジオの雰囲気をできるだけ伝えるためミュージシャンの声ややりとり、演奏開始前のジョーダンの笑い声まで収録された、彼の人柄や和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる名演・名録音。以上の6曲でお開きになる予定でしたが、「Jealousy」に収録のクリスチャン・ジョーゲンセン(16歳のヴァイオリニスト)との素晴らしいカルテット演奏“オー・プリヴァーヴ”の追加リクエストがあり計7曲となりました。全曲をアナログレコードで、ホールPAシステムの迫力ある音で楽しんだひと時。デューク・ジョーダン本人がこのホールで生演奏したらどんなサウンドだっただろうか・・・と思いを馳せずにはいられない、感慨深いJazz Dateでした。