連載・ジャズの散歩道 by 瑠居剛史 〜連載2

■連載2.名プロデューサー HARRY LIMの遺産
KEYNOTE RECORDINGS
10インチSP盤センターレーベル 日本フォノグラム Mercury(Keynote) LP盤
Coleman Hawkins Quartet      Lester Young Quartet
1944−2−17録音            1943−12−28録音

10インチSP盤

Lester Young

ハリー・リム(Harry Lim) 1919−2−13〜1990−7−26(享年71歳)
インドネシアのジャカルタ(当時はオランダの植民地でヴァタビアと呼ばれていた) 生まれのジャワ人で、写真で見ると日本人と見紛う容貌なので親しみを感じる。4歳でオランダに留学し、10歳(1929年)のとき英パーロフォンが発売したルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・ホット・ファイヴの「ウェスト・エンド・ブルース」(1928年 Okeh録音)を聴いてジャズに打ちのめされ、その魅力にすっかり取りつかれてしまった。(ハリー・リムの回想)
1936年に帰国後、1939年からニューヨークに移住。キーノート・レーベルのオーナー、エリック・バーネイ(ユダヤ系アメリカ人)にジャズ・レコードのプロデュースをさせて欲しいと折衝し、ハウス・プロデューサーとしての契約を取り付け、1941年よりレコーディングをスタート。しかし、キーノートがジャズ・シリーズの第一弾として世に送ったレコードは、このレーベルの典型的な作品ではなく、1941年の初頭ハリー・リムはニューオーリンズに赴き、若き白人演奏家たちに注目し自費を投じて録音したものだった。キーノートの記念すべき本格デビュー作は、1943年12月28日ニューヨークで録音されたレスター・ヤングの初リーダー・セッションで、正に最高の出だしと言える。(レスターは、これより先の1942年にナット・キング・コール・トリオとノーマン・グランツのレーベルに吹き込んでいるが1945年まで発売されなかった。)ハリー・リムが1947年までにプロデュースしたセッションは300回を超すものだが、1948年に全てをマーキュリーに買収された。過去に日本フォノグラムからLPの15枚シリーズ発売が二回。その後に「The Complete KEYNOTE Collection 1941〜1947」として21枚のカートン・ボックス入りLPセットが発売された。
CD化は? と調べたところ、2015年現在Fresh Soundから「Keynote Jazz Collection 1941〜1947」FSRCD815として発売されていることが判った。

注)本資料は、ジャズ批評家ダン・モーガンスターンのレコード解説などを引用し作成した。