連載中-Take series(Take 1〜) /音友会の逸話。 by 塚田親一

♢連載-Take 1♢「音友会は「レス・エルガート」から始まった。」
テイクワン(Take1)とは、直訳すると「おひとつ、どうぞ」。音楽業界では、「録音開始、1回目」となる。筆者のテイクは何回続くか、また何回で終わるか判らない。何度か録音してOKのテイクが出るまで続く。
Take1は「音楽好きな友の会(音友会)」設立のきっかけとなった逸話である。さて、筆者の話も何回続くだろうか。
商店街の「とある飲食店」、オーナーはスピーカーの音響メーカー出身。お客さんが持参のノンジャンルのレコード、CDをラックス(LUX)管球アンプでタン ノイ(TANNOY)SPシステムと、自作SPシステムでアナログサウンドを聴かせていた。そこにジャズマニアでアンプの音響メーカー出身デザイナーが LPを持参して再生していた。それは「レス・エルガート・オーケストラ」のレコードであった。さらに其処にテープデッキの音響メーカー出身者が。なんと 「レス・エルガート・オーケストラ」が好きで学生時代にビッグバンドでよく「エルガート」を演奏をしていた。この後者2人がのちの「音友会」発足にあた り、重要な人物となった。その日、「とある飲食店」で流れていたレコードは日本コロムビアの33回転、10インチ(25cm)盤のアルバム「フォー・ダン サーズ・オンリー」(PL-2046)。最近ではレコードすら珍しいが10インチ盤は販売枚数が少なかった。8曲入りのLPで当時の楽曲は1曲あたり3分 前後だった。
※「フォー・ダンサーズ・オンリー」(COLUMBIA PL-2046)収録曲目
SIDE A
1.For Dancers Only
2. The Sweet Heart Of Sigma Chi
3.Star Dust
4.September Song
5. Dream
SIDE B
1.Night And Day
2.Tenderly
3.For Me And My Gal
4.Harlem Nocturne
5. I’ll See You In My Dreams – Goodnight Sweetheart

(Mマガジン2021年5月号掲載)

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♢連載-Take 2♢「レコード盤の大きさと回転数は3種類もある?。
簡単にレコード盤のサイズは、17(7インチ)/25(10インチ)/30(12インチ)cmとあるが回転数も異なる。一般的なプレーヤーは45/33回転 だがSP盤が入ると78回転の3スピードとなる。また収録時間も片面約3分から25分の両面である。このSP盤など持参し歴史を詳細に、また音友会にレジメなど利用の手ほどき、多方面のジャズレコードコンサートに参加、前述の重要人物、音友会発足で活動した現メンバーの川崎さん、そしてもう一人、ラジオ少年のなれの果て、筆者だ。川崎さんの初レコード購入は10インチSP盤で日本コロムビアの「ルイ・アームストロングとホットファイブ/ウエス ト・エンド・ブルース」「テディ・ウィルソン/ブ ルース・イン・C・シャープ・マイナー」のカップリング盤を15才の時に日本楽器銀座店で購入。一方筆者は当時のポピュラーヒットで45回転シングル 盤「ニール・セダカ“恋の片道切符”」だ。当時のシングル盤は真ん中に丸形アダプターを置いてセンター合わせをしたが、ビクター盤は三ツ矢式アダプターがレコード盤に整形され、切ると丸孔になる。とても親切な構造になっていた。元住吉にも当時「マツオカレコード」店があった。

●10インチSP盤で日本コロムビア
・side A ルイ・アームストロングとホットファイブ
/ウエス ト・エンド・ブルース」

・side B テディ・ウィルソン
/ブルース・イン・C・シャープ・マイナー

 

●Victor SS-1184
・side A 恋の片道切符(One Way Ticket)
/ニール・セダカ(Neil Sedaka)

・side B おお!キャロル(Oh! Carol)
/ニール・セダカ(Neil Sedaka)

 

ビクター盤は三ツ矢式アダプター
45回転EPアダプターがレコード盤に整形され、切ると丸孔になる。

(Mマガジン2021年6月号掲載より)
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♢連載-Take 3♢ 「そして場所探しが始まった。」

「とある飲食店」が閉店になり、自分たちでレコードが聴ける場所を造ればと、みんなで聴く会「音楽好きな友の会(音友会)」を発足。簡単に発足したが、聴ける場所探しが大変であった。音楽好きなオーナー、オーディオシステムが常設、ある程度の広さ、特にレコードプレーヤーが無くてはレ コードは聴けない。川崎さんと元住吉中を探したが近年そんな場所はない。会場があればオーディオ機材は私物でも何とかなる。ではと最低15名くらいの席が ありオーディオが無ければ置かせて貰える会場カフェ cafe OrangeBlueを 探した。(閉店したオレンジブルー)
元住吉駅西口のオズ商店街に小さな喫茶店が快くOKが貰えた。アンプ、スピーカー、レコードプレーヤーを置かせて貰い参加費を設定し会場費に充てた。珈琲付きで月2回の日曜日、ジャズと軽音楽の日を設定、開催中の出入り自由、で開催。その後に難題が発生。開催中ポスター掲示はあるが「出入り自由」とは言え、コンサート参加以外のお客さんの対応である。日曜日にゆっくりお茶を飲みに来たのに開催中の時間には参加費が発生?。オーナーも当初は気がつかなかっ たが、お客さんからしてみれば余計な音楽が流れ好き嫌いにかかわらず出費が生じる。結局開催の2時間を全貸し切りにして貰う事になった。確かに静かに読書をしようと来たのに音楽が大きく落ち着かない。レコードコンサートは一般のお客さんに迷惑を掛けてしまった出発であった。
でもとても嬉しいことがあった。喫茶店に常連の女性の方がレコードが聴けるならと、わざわざ友人と星野源のLP盤を購入、聴きたいと持参してくれた事でした。そんな一般の方がわざわざ購入して持参してくれた事は音友会の励みになりました。レコードの上をカートリッジがトレースし音が出る様子がとても珍しかったのか飽きずにずっと聴きながら見ていました。(Mマガジン2015年09月号に紹介)
(Mマガジン2021年7月号掲載より)

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♢連載-Take 4♢「レコードから「山本剛生演奏コンサート」へ。」
  いよいよもう一つの目標である、年に1回は生演奏で音楽を聴きたいね、がスタート。たまたま勤務の関係で知り合っていた山本剛(P)さんが白楽にあったライブハウスで演奏していた。何回か聴きに行っていたがそのライブハウスが閉店になることになった。皆さんガッカリ。それなら元住吉で開催すれば良いではな いか、元住吉は川崎市の中で一番の音楽環境が整って野外ステージもあり、またホールもある。音友会の野望にはもってこいの音楽演奏環境がある。
早々に国際 交流センターホールを確保。後は観客動員を考えれば良い。しかし演奏会場もホールで客席に座って聞くのは当たり前で面白くない。「では昼間のライブハウス をホールに造れば良いのではないか」と可動客席無しのワンフロアーを演奏会場にした。ホールの中央で「山本剛トリオ」が演奏、その周りを取り囲む様に座席 を配置。もちろんPA無しの生音ライブで全席自由にしたのだ。観客は好きな楽器の傍で聴けば良い。しかしその配置準備は大変であった。メンバーの川崎さんを中心に図面指示で関係者の友人等のボランティア応援で会場造り。そのお陰で250名収容ホールであったがなんと折りたたみ椅子で客席を設置。187名が 来場。「演奏者のそばで聴く生音コンサート」が出来た。興奮さめやらぬなか会場を移し演奏者達との懇親会で一回目のコンサートが終了。
演奏者の山本剛さん からは「ホールでライブハウスの様なコンサートは初めてで楽しかった」とのこと。

(Mマガジン2021年8月号掲載より)
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♢連載-Take 5♢生演奏コンサートの準備が始まった。

2014年、「音友会」主催の元住吉の気軽な音楽会「山本剛ピアノ・トリオ生演奏コンサート」を開催するにあたり、どうやって観客を動員するか。演奏者を 確保したのはいいが誰も聴きに来なかったらどうするか。不安であった。そこで商店街の協力のもと、チラシを配布することを思いついた。元住吉駅周辺の商店街は、西の井田山から綱島街道を渡り、東の平和公園までの長い一本道で繋がっている。チラシの裏面にそれらの「商店街合同マップ」を作り、古くから筆者達がお世話になった個人商店がチエーン店の影響で忘れさられる現状に「個人商店の名入り地図」の作製で、応援もしたかった。協力を仰ぐために意気揚々と催事企画書を作り、駅近辺の商店会に持参した。ところが、現実は甘くはなかった。「音友会」の知名度が、まだまだ低かったのだ。「金銭がかかることには協力できない」と我々が求めていた商店会の個人店名簿と協力金要請を勘違いされて、門前払いとなってしまった。しかし、商店会の一つ「井田中ノ町商栄会」が「気軽な音楽会」に理解を示し、商店会名簿を用意してくれた。このことが「音友会」の新しい展開となるきっかけでもあった。
(Mマガジン2021年9月号掲載より)
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♢連載-Take 6♢「山本剛生演奏コンサート」は大成功だったが・・・。

「山本剛生演奏コンサート」の会場を川崎市国際交流センターのホールと決めると、とてもラッキーで通常6ヶ月前からの会場抽選であるが、予定していた9月は27日(土)がまるで「山本剛生演奏コンサート」の為に空いていたのだ?!。チケット価格の設定が難しかった。世界的ジャズピアニストの山本剛クラスは、最低ディナーコースで約5,000円が相場。ところが、元住吉は急行も止まらぬ小さな街、それに名も無い「音友会」の主催だ。そんなには出せないのでは。何よりも地元の人が気軽に「元住吉で世界の山本剛が聴ける」を優先したかった。そこで、自分がもし商店街を歩いていて素敵な生演奏の音楽が聞こえたなら、幾ら払うか?と仮定してみた。悩みに、悩んで2,500円となった。また、筆者の学生時代がそうであったようにステージ終了後に来場者との懇親会もやりたかった。つかさず川崎市国際交流センターの地下「レストラン・ソレイユ」で懇親会を決めた。準備は着々と進んでいったが肝心な演奏者の日程と出演料の確認が取れていない。遅れ、遅れでヤキモキしていたが、なんとか予定通り9月27日(土)の開催と出演料が確定した。チケットの販売は「音友会」のホームページと馴染みの喫茶店を借りて、メンバー2人で販売に頑張った。Mマガジンのサポーターの2店舗が見かねて直販を引き受けてくれた。また、当時の横浜・白楽にあった喫茶店でも扱ってくれた。ポスターやチラシの宣伝広報にお墨付きを頂きたいと「後援者」の申請をした。「音楽のまち・かわさき」推進協議会、開催場所の川崎市国際交流協会、そして近隣の公共機関などで申請認可に約1ヶ月。長いな〜。でも、無名な主催者には必要だ。兎にも角にも貰わねば。そんなある日、出演者側との誤解が生じた。「Mマガジン」の裏表紙には約40店舗のサポート店一覧が掲載されている。これを見た出演者側は「スポンサーがこんなに沢山いるのに我々のギャラが安くないかな」となった。筆者は「いやいや、このサポート店はMマガジンを無料配布していただいている窓口を掲載してるんです」と慌てて相手を説得、なんとか理解してもらえた。後は当日の天候が晴れてくれと願うばかり。そして、願望の甲斐あって開催当日は見事に晴天。会場は「生で聴く、世界的演奏家」を待ちわびた参加者で多いに盛り上がった。さて、筆者のもう一つの持ち場である音響機器の環境構築、つまりPAにおいての秘話がある。

元々『生音で聴く』が売りであったコンサートの会場に、無いはずのマイクが6本もセットされていた。これはPA音響ではなく録音用だった。「音友会」にとって出演料が高額だった為、その補填にとライブ録音のCDを制作し、販売を計画したのだ。録音担当は筆者と「新宿音楽祭」でデキシージャズをセッションした女性ピアニストでホール音響勤務。しかし初めての「アナログ録音」と言う事で録音指導を兼ね緊張感いっぱいの録音となった。ところが演奏者の承認の前に、当日の会場でMCが販売を発表してしまったのだ。筆者のミスで、演奏者は気分を害してしまった。結果このCDはお蔵入り、未発表のままである。これは筆者、生涯の大失態であった。許されるものなら、いつか「音友レコード倶楽部」で聴きたい。 今更だが、どうせなら我が家で眠っている2T/38cmのテープレコーダーで、アナログのテープ録音でも残したかった。残念至極・・・※photo:M.Watabe
※録音データー
Microphone:NEUMANN U87×2、KM84i×2、SHURE BETA56A×1、AKG-D24×1
Audio mixer:AMPEX MX-10
CD recorder:TEAC RW-800
(Mマガジン2021年10月号掲載より)
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♢連載-Take 7♢「イダカフェ」というジャズ喫茶。

元住吉駅東口の小さな喫茶店で月2回、「軽音楽」と「ジャズ」の日として「懐かのレコー ドを楽しむ集い」のレコードコンサートを開催していた。そうした音友会の活動も、市民団体「音楽のまち・かわさき」推進協議会やかわさき市民活動ポータル サイト「応援ナビかわさき」、あるいは「川崎市生涯学習プラザ」などの公的な情報サイトでも告知されるようになった。おかげで地元の参加だけでなく外郭からの参加も増えてきた。ある開催日には女性の方が田園調布の坂が多い街から自転車で多摩川を渡り4駅も走っての参加でした。その様なこともあり会場が手狭 になってきた。そんなタイミングで「山本剛生演奏コンサート」の宣伝活動で知り合ったカフェのオーナーから声がかかかり元住吉駅西口の「イダカフェ」への 移転が決まった。
この駅の「元住吉」は地名ではなくいくつもの町が集まった地域である。駅を起点に東西に長く伸びた商店街が特徴で、その長さは日本でも指折りと聞た。東に向かってオズ通り、西に向かってブレーメン通りは有名だが、さらに進むと「イダナカ商店街」がある。その商店街の中ほど、元住吉駅から徒歩8分のところに 「イダカフェ」があった。川崎市立井田小学校の正門前で商店街から数メートル引っ込んでいたため意外と閑静な場所であった。そんな「イダカフェ」で「懐か しのレコードを楽しむ集い」を開かないかとオーナーが申し出てくれた。20代にロックバンドを組んでいたと言う音楽好きなオーナーは、レ コードの再生に伴う音響装置の常設まで申し出てくれた。女性が主だったカフェが時としてジャズ喫茶に変貌すると言うのだ。珈琲・紅茶などのドリンクサービ スをしながらジャズを聴かせるのである。筆者はその話に飛びつき週一の「ジャズ喫茶」を運営をする事になったのだ。料理を作りコーヒーなどのドリンクサー ビスが可能だろうか。遊びではなく金銭をいただいて音楽と料理を提供するのだ。やはりそれなりのスタッフが必要だ。飲食の経験がありレコードコンサートの 常連だったサックスプレーヤー、松波陽介さんに声をかけてみた。ありがたいことに快く引き受けて貰え、後に音友会の演奏スタッフにも参加して貰えた。毎週 金曜日は「イダカフェ」が『ジャズ喫茶・クールダウンJ』と名付けてオープンした。ついでにこのスペースであればライブも可能ではないか、楽器本来の生音での演奏であれば近隣には迷惑はかからない。そ してPAを最低限でのアコースティックライブが始まった。2014年12月、志賀由美子が「yumicoのリトルタイム・ライブ」を皮切りに「新井光子& 出村克明ライブ」「くじら座アコースティック・ライブ」「永瀬晋アコースティックギター・ライブ」「浅井晴香&JAZZ・フレンドリー・ライ ブ」、そして閉店記念には岩浪洋三氏も日本を代表するジャズ歌手と称した「星乃けい2018NerYearライブ」を最後に2019年4月に「イダカ フェ」は解体された。天井が吹き抜け、壁が木板、クラシックソサエティーの田島華乃が親子で参加の「ママのおひざで聴くヴァイオリンコンサート」を開催し ていた。
※イラストは「音友会」発起人が描いた「イダカフェ」。
(Mマガジン2021年11月号掲載より)
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♢連載-Take 8♢六本木のジャズクラブ「ミスティー」の初代ピアニストを迎えて。

第 1回目の「山本剛生演奏コンサート」に続き、第2回目は「菅野邦彦とその仲間」の生演奏コンサートを開催した。このピアニストは六本木のジャズクラブ「ミ スティー」の初代ハウスピアニストで前回の山本剛さんは2代目にあたる。開催にあたっては初回の経験もあり、チケット販売また会場のセッティングも初回の ボランティアスタッフに応援をお願いした。
今回も演奏者を囲む生演奏会なので椅子のセッティングが大変だった!。ま た編成がピアノ、チェロ、パーカッションと言うユニークなトリオである。演奏者の方が「あのね、菅野さんは演奏が楽しいときは時間通りに進行が出来ない よ」と言われたが、その通りになった。当初45分の2ステージ演奏予定だが、1ステージが終わらない。「1ステージ終わりです」と知らせたが、結局80分 通しでリクエストが15分位の休み無しの演奏会になった。ピアノ脇では確か青森だったかな?常連の女性の方?で、菅野邦彦さんと常連さんで盛り上がって終 わらない。参加者全員もこれを楽しんでいた。会場は20:30に終わらせて片づけである。バンドの方が何とか時間内に納めてくれて無事に閉会した。しかし 菅野邦彦さんの長時間の演奏は確かにご機嫌な演奏で観客の方々も有り難い事に誰一人席を立つ方がいなかった。
ま た録音記録を打診したが断られた。それもそのはず、菅野邦彦さんのお兄さんは「生演奏はワンポイント録音」で有名な菅野沖彦さんです。演奏終わりの打上げ の時に、筆者と勤務先が一緒だった小泉清人さんが当初ベースで参加したり、また菅野邦彦さんと一緒の場所で録音ミキサーをしたりなどの話が出て「そこまで ワンポイントを理解しいるのでしたら記録をお願いしても良かったかな」と一言あった。次回のチャンスが有ったときには再度お願いしてみたいと思います。
筆者所有のTEAC A-7030P(1/4tapeで2tr/38cm)のテープレコーダーでアナログサウンドを録音したいのですが、今となっては機材が重くて運搬が大変です。ぜひ若い人達の力を借りないと(笑)。ぜひ応援願います。
※ワンポイント録音は、2本のマイク又は1本のステレオマイクで全ての演奏楽器を収録する方法です。
(Mマガジン2021年12月号掲載より)
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♢連載-Take 8♢駅から0分、「音友ハウス」へ。

最後の「イダカフェ」は2019年4月15日(日)。次回5月6日のレコードコンサートに向かって「音友ハウス」へ引っ越し。今度の「音友ハウス」は、元住吉駅から道のり10分の「イダカフェ」とは違い、駅0分。皆さんも良くご存じの西口の果物店「フルッチョ」の2階。オーナーのボランティア精神で借りる事が出来て本当に助かり、レコードコンサート、永瀬晋、牧野くみと牧野憲人のくじら座などのデュオライブ、ジャムセッション、田島華乃のヴァイオリン教室などが開催。
オーディオ再生機材も「イダカフェ」から管球アンプ、ソニー、デンオンなどのプリメインアンプを始め、78回転がかけられる3 スピードプレーヤー、CDレコーダーなど。会場用意は出来なかったがカセットデッキ、オープンデッキの準備もあった。音の出口は音友会自慢の『アナログサウンドで聴く音場空間』をTANNOY、TEACの2セットスピーカーシステムを使用しこれを2台のアンプでバランスをとり心地良いサウンドを創り上げる構成である。また少しずつ増やしたジャズ、イージーリスニング、クラシック、童謡などのLP約1 0 0 0 枚、それに加えCDも約1200枚。そして楽器演奏用にギターアンプ、キーボード、PAシステムなど沢山の機材で、「視聴と演奏の音友ハウス」が出来上がった。
新会場でもお茶をと「イダカフェ」で使用していた椅子、机、食器なども持参。そして「音友ハウス」の第一回目のレコードコンサートは、藤田さん、大場さんのDJから始まった。
▲①なんと元住吉駅から2軒目、果物屋さんの2階。とにかく駅に近いので喜ばれた。
▲③オーディオはもちろん、楽器もできるだけ設置した。
▲④以前「IDA CAFE」で使用していた、家具を持ち込んだ。
▲②ヴァイオリニスト田島華乃「かののかい」。
(Mマガジン2022年02月号掲載より)

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♢連載-Take 9♢ レセプションルームは、やはり広かった。

新型コロナ3密対策で「ソウルエッグス」からレコードコンサート会場を国際交流センター・レセプションルームに変更したが改めて広さを実感した。160名に 対して約30名前後。窓と入口扉を開け空調を整え受付では検温、健康カードの記入。各参加者にはマスク、筆記具の持参に徹底告知で開催。機材売却のため会 場のPAシステムを借用、思うようなアナログサウンドの再生が出来るか、心配であった。会場の固定スピーカーは壁の上部に設置。座って聴くのには高すぎる のて会場のPAシステムは音友サウンドと音像定位を出してくれるか!。固定スピーカーの下に準備したPAスピーカーを配置。このシステムは会場の音響とも 相まって演奏者がプレイをしているが如くの壁面全体からステージが有るかの様な定位でサウンドの再生をしてくれた。
ただ音を出せば良いPA操作と、如何に上質なサウンドで音楽を聴かせるPAにするか、の違いを痛感した。現在このノウハウを持って音友レコード倶楽部のサウンドを皆さんとスウィングしながら聴いている。
(Mマガジン2022年3月号掲載)
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♢連載-特別編♢ 音友会には動の世界「街角投げ銭ライブ」もある。
takeシリーズでは音友会の成り立ちがレコードコンサートで「静の世界」の話をしてきましたが、もう一つ「元住吉の気軽な音楽会・街角投げ銭ライブ」が有ります。これは後の姉妹組織「モットンクラブ」に引き継がれていますが、「イダカフェ」や「音友ハウス」で知り合った演奏家の方々のライブです。「yumikoリトルタイム、田島華乃スウィートタイム、kantaroハッピネスタイム」と称された各人の投げ銭ライブが有りました。「yumikoリトルタイム」はギブソン・ジャズ・ギター・コンテスト最優秀受賞の志賀由美子さん、kantaroハッピネスタイムは瀬口寛美さん、「田島華乃スウィートタイム」は元住吉で「ママのおひざで聴くヴァイオリンコンサート」を開催していた 「音の家」代表で最近では「絵本を鳴らす!コンサート」/NPO法人リトルワンズ ミュージックプロジェクト、菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール、由紀さおりの素敵な音楽館(BS-TV)などで活躍中の田島華乃さん。またクラシックソサエティーのリーダーでもあります。

とくに音友会をサポートして井田中ノ町商栄会のお祭り「夕市」では皆さんと一緒に楽しみました。忘れてならないもう一組、井田中ノ町商栄会のイメージソング「いだるんマーチ」の作詞・作曲・演奏の「くじら座」こと、牧野くみ、牧野憲人さんです。そしてそれをヘルプするか如くにソウリーヴ・ミュージック・スクール 主管の永瀬晋さんが参加、今や作詞、作曲家そして俳優と忙しい日々です。牧野くみ、永瀬晋は姉妹組織のモットンクラブで「元住吉ミュージック・フェスティバル」の企画運営でも活動中です。早くMMF開催を願うばかりです。
次回開催は2023年4月を予定しています
(Mマガジン2022年3月号掲載)
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演奏者自身の音楽表現は、音量調整卓のPAミキサー、音質調整卓の録音ミキサーによって大 きく変わる。ミキサーは譜面が読めても読めなくても、バンドのドラマーが変わったと同様に演奏者の音楽表現を熟知しないと出来ないと思う。それらと同時に 楽器本来の音、演奏者が表現したい音、また纏まった演奏の音、ホールサウンドなど考えて調整が出来ないと卓の前には座れない。同時に音像定位もどうするか も勿論の事である。そして『音友会の音の調整は音楽を聴きながらPAと録音を考えたい』と挑戦しているが、それよりも『演 奏者の奏でる楽器本来の生音を聴いて欲しい』ので「PAは補助」として演奏会を開催している。
筆者はステージなどのライブ演奏を「その場の雰囲気含めて 一気に記録する」一発録りが大好きである。しかもオープンデッキ(音友会HP/take8参照)で2tr/38cmのアナログ録音である。皆さんにも一回 は生録したオープンデッキの音を聴いてほしいです。最近は各演奏者がブースで録るマルチ録音が主です。
▲筆者所有の可搬型ミキサー STUDER-089 / オープンリールデッキ TEAC A-7030
(Mマガジン2022年3月号掲載)

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♢連載-Take 13♢ ブラス、サックスセクションのバランス表現は難しい!
話はそれて、take12で「その場の雰囲気も含めて一気に記録する、一発録りが大好きである 」と話したが、一番大変だったが、とても記憶に残った録音がある。筆者自身も大好きで世界に誇る『宮間利之とニューハード』の録音である。1977年4月30日(土) 三鷹公会堂で録音し、この模様は「第1家庭電器(DAM)」がレコード(DOR-0030)で、もう一方ではオープンデッキのテープで数百名に録音された。筆者はたまたま当時のU-maticテープのPCM録音された音源が有り鑑賞している。録音機材はStuder/089、Ampex/AM10のミキサー、マイクはNeumann/ U87を筆頭に計20本を使用。この音源でバランスの難しさを一度聴いて貰いたいと思います。それ以外にも「一発!生録音の音源」の所有が有りますので徐々に聴いて、レコード、CDなどとの臨場感の違いをぜひ鑑賞してください。音友会HPに生録一覧詳細などや音源などの一部を紹介したいと思います。音友会の企画で「このアナログサウンドの生録」の機会が有れば皆さんと一緒に楽しみたいと思います。

(Mマガジン2022年7月号掲載)
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♢連載-Take 14♢ご当地「ゆるキャラソング」で音友会もお手伝い!!

「元住吉駅」は地理的に川崎市の中心に位置する。そして商店街は全国的に見ても長い商店街が東西を貫いている。商店街は、東は中原平和公園から綱島街道を越え西の井田山へ向かう一本路で繋がっているのだ。駅の東口にはモトスミ・オズ通り商店街振興組合。西口は、全国的に有名なモトスミ・ブレーメン通り商店街、西口の井田山方面にはもう一つの井田中ノ町商栄会の商店街がある。
さて、この三つの商店街にはゆるキャラ“おずっちょソング”、“ブレーメントリオン応援歌”、そして“井田中ノ町商栄会公式キャラクター「いだるん」の公式テーマソング“いだるんマ-チ”がある。この“いだるんマ-チ”が音友会ライブソサエティーでも活躍中の音楽ユニット「くじら座」で制作され、地元で口遊さまれている曲です。地元の「商店街ソング」でひとときを楽しむのも如何でしょう。▲井田中ノ町商栄会公式キャラクター「いだるん」。

(Mマガジン2022年8月号掲載)
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♢連載-Take 15♢音楽ジャンルで個々のソサエティーが活動。
音友レコード倶楽部は「軽音楽ソサエティー」と「ジャズ・ソサエティー」でレコードコンサートを開催している。コロナ禍で現在「軽音楽とジャズを聴くプログラム」で月1回で開催しているが本来は第1日曜日が「軽音楽の日」、第3日曜日が「ジャズの日」として月2回の開催で個々の企画、運営をしていた。DJは各日を2人が50分の2回で担当し演奏者やバンドに付いて詳しく紹介しながら進行していた。現在は「軽音楽とジャズ」から一人ずつが担当し、短縮版で開催している。なお軽音楽、ジャズ運営は当初からコンサート参加者の藤田順次さん、大場明弘さんが担当し開催している。また「音の家otonoya」のヴァイオリニスト田島華乃さんが企画運営で参加している「クラシック・ソサエティー」もある。現在菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、横浜ゾリステンオーケストラの「コンサートミストレス」などで活動中であるが、元住吉では親子向けコンサート「ママのおひざで聴くヴァイオリンコンサート」、クラシックでは珍しい投げ銭ライブ「かののかい」を開催し「プロ集団の演奏が気軽に聴ける」と好評だった。 これらのソサエティーが一体となったレコードコンサートや音楽祭も開催してみたい。


(Mマガジン2022年9月号掲載)
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♢連載-Take 16♢ふと、想い出した忘れ時の一曲?
音友会の成り立ちなど、いろいろ書いて来たが『ふと思いだした曲があった』ので音友会逸話は一休さん。
夏には必ず流れてくる名曲、また海辺の夕暮れにはとても似合い、ロマンティストな筆者には心和む一曲である。え!これから秋になるのに夏の曲!?。この曲は夏でも秋でも四季を通じてその時々で「表情」がありロマンティストな方々には「想い出の一曲」では無いだろうか。“引き潮/Ebb tide”。 ハープ奏者のロバート・マックスウェルの曲でムード音楽の代表作。演奏者によって曲の表情がこれほど異なる曲は無いのでは。作曲者の演奏はもちろん、フランク・チャックスフィールド楽団が有名でライチャス・ブラザーズも歌っている。筆者は荒々しい岩場の波の音から始まるジョニー・ダグラス楽団の演奏が好きである。この楽団は自身の「ジョニー・ダグラス楽団」演奏と 他のオーケストラ指揮している「The Living Strings With Johnny Douglas」が有る様子、筆者は後者の指揮の方である。
(Mマガジン2022年10月号掲載)

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