♬♬ 2020年7/12(日) 第140回 音友レコード倶楽部」Report

● 軽音楽ファンの集い(Light Music)
♬不運なサックス奏者アート・ポーター

暫くぶりの開催のため、初回は午前中からサウンド・チェックかたがた会場を借りましたが、やはり会場の音響システムのトラブルで音が出ない等のアクシデントが発生しました。スタッフが用意をしていた他の音響システムと全員の協力のおかげで無事開催でき、 その後スムーズに進行できた事は何よりも喜ばしい事でした。新会場における「Light Music」の第1回目は筆者が愛してやまないアート・ポーターです。彼がデビューした頃、ちょうどフュージョンがスムース・ジャズという洒落たジャンル 名に変わった時期です。彼の曲は大変メロディアス、そしてタイトなリズムをバックに曲によってサックスをアルトとソプラノに使い分け、時にエモーショナ ル、時におおらかに演奏を繰り広げます。今回紹介した5枚のアルバムの内、特に印象に残っているのがデビュー・アルバム「Pocket City」(Pocket City/Art Porter)と彼の死後発表されたラスト・アルバム「For Art’s Sake」です。デビュー・アルバムは冒頭のアルバムタイトル曲“ポケット・シテイ”を筆頭に衝撃的なアルバムでした。また、ラスト・アルバムは熱気ムン ムンのライブ、リミックス・バージョン、彼の友人達が彼に奉げた曲などベストアルバム的な要素を持っています。35歳という若さでタイのジャズ・フェステ バル参加中、ボートが転覆し亡くなりましたが、これからが期待されていたサックス奏者だけに是非生演奏を聴きたかったです。持ち寄りタイムでは1958年 にクリード・テイラーがプロデュースし、コーラス・グループ、アクシデンタルとトロンボーン奏者カイ・ウィンディングが吹き込んだ(Pocket City/Art Porter)より“デイ・イン・デイ・アウト”、プレスリーのバックを務め、チェット・アトキンスと共演し「スリップノート奏法」で有名なピアニスト、フロイド・クレーマーの(Axidentals/ With the Kai Winding Trombones)より馴染みのある軽やかな曲“ア・ウオーク・イン・ザ・ブラックフォーレスト”、昨年音友レコード倶楽部の面々もライブを聴きに行ったトランペッター、ファブリッツィオ・ボッソの(This Is Floyd/Floyd Cramer)よりゆったりとした演奏の“ニュー・シネマ・パラダイス”などを堪能致しまし
た。(フレドリック・ジョーンズ記))

● ジャズファンの集い(Jazz Date)
♬久々のJazz Dateは広いレセプションルームに数々の名曲が流れる。

コロナ禍の影響で中断していたJazz Dateが、関係スタッフのご尽力で7月に再スタートし、3月から延期されていた特集「ピアノの詩人トミー・フラナガン」を筆者のDJでお届 けしました。トミー・フラナガン(1930.3-2001.11)の一貫したクリアで繊細な奏法は派手さや奇抜さとは無縁で、何処まで聴いても飽きが来ま せん。サイドマンあるいは伴奏者として名声を確立したのちに、トリオのリーダーとして長期に人気を博したのも、「ピアノの詩人」ならではの豊かな表現力ゆ えんでしょう。まずはその魅力が凝縮されたトリオ演奏で“レインチェック”(Jazz Poet/Tommy Flanagan)を、続いて「名盤の陰にトミフラあり」と言われる中から、ケニー・ドーハムの「Quiet Kenny」(Quiet Kenny/Kenny Dorham )とジェリー・マリガンの 「Jeru」で技ありの引立て役の妙味を堪能し、さらに若きフラナガンの修業時代の聖地に捧げた自曲の“ビヨンド・ザ・ブルーバード”、エラの伴奏で“サ テン・ドール”などを聴きました。今年はフラナガンの生誕90年ですが、ほぼ同年の穐吉敏子(1929.12-)が今なお現役であることを思い、最後に “チェルシーブリッジ”(Complete Overseas Session/Tommy Flanagan)を聴きながら早めの退場を惜しみました。後半の持ち寄りタイムはエロル・ガーナーのちょっと風変わりな“クロース・トゥ・ユー”で始ま り、「Basie is back」から“コーナー・ポケット”の軽快なメロディが再会の喜びを響かせると、次々にイチ押しの逸品が紹介されました。ジャケットが印象的だったのは 安田南のシンプルな「South」と、掘出物という感じのトム・ポメロイなる「T o m」(Tom/Tom Trio)。一方、コロナ禍の犠牲となったリー・コニッ ツ及びベーシストのヘンリー・グライムスが奇しくも共演する「Tranquility」(Tranquility/Lee Konitz )が紹介され、共演盤による追悼は恐らく我ら音友レコード倶楽部だけだろうとは紹介者の弁でした。さらにリッチー・カミューカとリー・コニッツの 「Duets」に続き、また別の参加者からの「R i c h i e K a m u c aQuartet」で“ジャスト・フレンズ”と“チェロキー”、加えてレス・ブラウン楽団の「Jazz Song Book」、シダ・ウォルトンの「Midnight Waltz」からの名演奏で心ゆくまでジャズシャワーを浴びた午後のひとときとなりました。(Chizuko Yoshii記)