イギリスの歌のお母さん『ヴェラ・リン』

イギリスの女性ヴォーカリストで『ヴェラ・リン』(Vera Lynn)をご存知だろうか。1917年生まれだが、健在である。2017年、ちょうど100歳の時にニュー・アルバムをリリースした。そのアルバムタイトルが『Vera Lynn 100』。最近、入手した。
自身の過去のレコーディングから声のみ抽出し、バックのオーケストラは新録音で重ねた。素直で伸びやかな歌声、綺麗な発音は一聴して歌詞が書き取れるほどで、それは歳を取っても変わらない。
アルバムリリース時、記念コンサートも行なわれており、リンは声でコメントを寄せている。第二次大戦中、リンはイギリス軍が戦っていたエジプト、インド、ビルマで慰問コンサートを開いており「イギリス軍の恋人」として人々に記憶されている。今なお、リンは第二次世界大戦を戦った退役軍人たちの敬愛の対象であり、後に大英帝国勲章を授与されている。筆者は勝手に”イギリスの歌のお母さん”だと思っている。日本での知名度は今ひとつかもしれない。
スタンリー・キューブリックの奇作『博士の異常な愛情』(1964)で、ラストシーンでバックに流れる“We’ll Meet Again”はリンの歌唱であり、彼女の代表作のひとつである。今までのの背景を知った上で彼女の唄を聴くと、イギリス人でなくても感慨深く感じる。是非一聴を。  by 大場アキヒロ 05-29/2020