〜連載16〜 田島華乃・子供たちの性格を尊重するという事

image2私のコンサートには、様々な年齢のお子さんが聴きに来てくれます。子供たちの反応がそれぞれに違って面白いので、今回はそのお話をしようと思います。

まず、音を出した瞬間。ほとんど全員がパッとこちらを見ます。今までに聞いた事のない音だからだと思いますが、その先は(演奏中)じっと見つめる子、ノリノリで身体を動かす子、ママにしがみつく子、泣いてしまう子、一緒に歌いだす子、、。ずっと集中して聴いている子もいれば、飽きてゴロゴロしだす子もいます。

最初に泣いてしまう子が、音楽が嫌いなのかというとそうでもなくて、少し慣れてくると自分の方から楽器に寄ってきてくれるようになったりするのを見ると、私もとても嬉しくなります。
image3ちびヴァイオリン体験コーナーも、子供たちの反応は様々で、私の二人羽織弾き(写真参照)を訳もわからぬままに受け入れ、自分が知っている童謡がちびヴァイオリンから流れ出てくるのを不思議そうに見つめている子、とにかく自分で弾いてみたいから私が触るのは嫌がる子、お母さんに『弾いてみて』とせがむ子、何回も弾きたがる子や3秒で満足する子、様々です。

ある日の事です。コンサート前の体験コーナーで3歳くらいの男の子が、お友達が体験しているのをじっと見ていて、私が「弾いてみる?」と尋ねると「あとでいい!」と言うので、そっとしていました。コンサートも終わり、再び「弾いてみる?」と聞くと、誰もいないお部屋にちびヴァイオリンを持っていってしまいました。こっそり覗いてみると、一生懸命に構えて音を出そうとしています。どうやら、弾くなら自分の力で上手に音を出したかったようで、しかも練習をしている姿は見られたくなかったんですね。
小さな子供にも、プライドとかポリシーがあって、私はそれを尊重したいなぁ、と思った出来事でした。